2014年04月04日(金) 
「150の法則」は、集団が拡大するときの危険性について、その変化が起こる閾値を主に経験則として提示しているものであるが、この問題を乗り越えてより大きな組織を運営しながら小さな集団のメリットを活かした事例がある。デラウェア州ニューアークに本社を置くゴア・アソシエイツは、年商10億ドルの株式未公開のハイテク企業。すでに大企業としての社会的地位を確立していながら、創業当初の小規模な企業形態を維持しようとしている。転職率は業界平均の1/3にとどまり、35年間連続黒字を続け、同業者がうらやむほど成長率や収益性の高い最新の生産ラインを持っている。ゴア社が米国の優良企業に必ず名前があがる企業に成長した理由は、創設者ウィルバート・ゴアが150の法則を忠実に守っていたからである。

ゴアは、グループが150人になると何かぎくしゃくしはじめることを何度も経験し、社員を共同者と呼んで中間管理職や上級管理職をおかずに、工場毎に最大150名しか配置しないという方針を立てた。そして15ある工場は、半径20キロという狭い範囲に立地させた。他の企業なら、会社の成長にあわせて、既存の工場を増築したり、生産ラインを拡張したりするところを、ゴア社は集団をどんどん小さな単位に分割した。こうして、小集団のなかで形式張らない人間関係がつくりあげられ、それを効果的に機能させている。ゴア社の特徴は、ほどよい距離に隔てられた小集団の間を、自由な経営方針で緩やかにつなぎ、それぞれの集団の結束を保ちつつ全体としてのバランスを取っていることにある。

日本経済新聞の坪田は「成長する企業をみていると、社員数が100人ぐらいの時期が一番面白くて、300人超えるあたりから管理の手法が一定の型にはまって人間味がなくなり、1000人以上になると、社員と役員の距離も感覚もずれてしまって企業全体のモチベーションが低下してしまう」という。ゴア社の事例はこの問題を、カリスマ経営者の能力に依存することなく、組織論から実現するユニークな手法であろう。アップル社やグーグル社、またルーセント・テクノロジー社に代表される米国の著名な成長企業にも、社内の組織や就業体制や空間にゴア社と似通った思想を持つ会社は少なくない。組織を成長させながら結束の亀裂を回避するためには、その構成数もさることながらグループ同士の「つながり方」に重要なポイントがあり、地域SNSのサイト運営においても貴重な示唆を与えてくれる。

これらのグループの接続は、組織同士が契約や協定という約束事で縛られて「ボンディング」されているのではなく、それぞれに十分な自由度を持ちながら相互補完的な共同関係が成立する「ブリッジング」の構造にある。このブリッジングを可能としているのは、グループ同士が緊密なコミュニケーションを実現しているからではなく、グループ間を効果的につなぐ橋渡し役となっている人材の貢献が大きい。彼らはブリッジングしているすべてのグループのすべての事柄を熟知しているわけではなく、どの種の情報を誰が持っているかを信頼できる他人を通じて蓄えている。つまり「この仕事は誰に相談し、この資源は誰につなけばよいのか」というような、グループ内の人的関係や役割を把握し実践している。彼らはその働きによって「ネットワークブリッジ」と呼ばれる。

このように、信頼できるサイトが巨大化し、集団規模の限界を超えて不協和音を生じるようになる前に、ネットワークをブリッジングしながら分割することは有効な方法であると考えられる。地域SNSの場合、主にリアルな関係で構成されている社会と比較すると、集団への帰属意識や道徳規範に関する基盤はおおむね緩やかであることから、集団規模の限界数はより大きい。また、ネットワークブリッジが活動に要する負担が大幅に軽減されることから、より多様で多彩な人材が出現する可能性も高い。普段からサイト内でネットワークブリッジを発掘・育成しながら活性を実現し、よりスムーズで効果的なサイト分割を行いながらサイト間を連携させることにより、全体としての一体感を持続・成長させていくことが、地域SNSのサイト経営に必要な視点である。

閲覧数1,049 カテゴリ読み物 コメント0 投稿日時2014/04/04 07:59
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